はじめに

納得できる家づくりのために

「自分らしい住まい」を建てるということは
自分(あるいは家族といった方が良い場合もあります)の
人生観を真正面から見つめ直すこと、と言い換えられると思います。

建築には唯一の正解があるわけではありません。
その中で辿り着いた一つの答えには、建て主と建築家の人生観が、色濃く反映されていると思います。

建築は、その空間に身を置いた人に、心に響く感動をもたらす可能性を持っていることを考えると、
やはり芸術性という側面もあると思っていますが、その社会的な責任の大きさからいって純粋芸術とは違うので、
私は作品をつくるというような思いは持っていません。
住まいであれば、建て主の人生観を尊重し、その上で私なりの提案を重ね合わせて、
収斂されるべき方向に進んでいきたいと思っています。

世間にはたくさんの建築家がいます。
その中から共に考えるパートナーを探す時に一番大切な事は、
会話等を通して、何かお互いに響き合う、良い相性を感じられる事だと思います。

当然のことながら同じ人生観を持っている訳ではありませんので、様々なことで議論が生じると思います。
ただその時に、お互いに、信頼に基づき相手を尊重し合う関係であれば、
それは進むべき道を探すために必要な議論として積み重ねることができると思います。

そのような関係が築けた建て主の方と「自分らしい住まい」ができた喜びを一緒に味わえたとき。
それが私にとって何よりも建築家冥利につきると感じるときです。

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